犬の概要
外観・特徴
眼
色覚が未発達で、赤と緑の区別が認識できないと言われています。
耳
聴覚は、人が感知できる周波数より2.5倍高い周波数までするどく感知できると言われています。
歯
成犬で上顎20本、下顎22本の合計42本の歯があります。生後6ヵ月齢ごろまでにはすべての乳歯が永久歯へ生え変わります。
被毛
被毛は、上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)があり、犬種によっては上毛のみ、もしくは下毛のみ生えているという犬種もあります。
汗腺
人とは異なり、汗を利用した体温調節は行なえず、汗腺からは、水分を多く含む汗ではなく、皮脂を多く含む分泌物を出します。
嗅覚
嗅覚は非常に発達しており、匂いを感じる鼻の粘膜の面積は人がわずか3c㎡程度なのに対し、犬は平均150c㎡です。それに対して、味を感じる舌の味蕾(みらい)の数は人の約1/12程度で、味覚は人ほど発達していません。
年齢、健康状態、個体差など、さまざまな要因で影響を受け、嗅覚については大型犬と小型犬を比べると、とうぜん大型犬の方が鼻の粘膜の面積が大きいため、嗅覚がするどくなります。
そして、マズル(口吻(こうふん))の形状によって空気の通り方も変わりますので、短頭種は、ほかの犬種に比べると嗅覚が劣ります。
味覚
前途により、食事の好みに大きく影響するのは、味覚よりも嗅覚になり、フードを食べる時はまず匂いを嗅ぎます。その後、フードを口に入れ、食感や形、固さを確認し、最後に味を感じます。
人と犬では食事に対する感覚が違うと言うことです。
そのため、どんなに栄養バランスが優れていても、食べないと意味が無く。犬にとって良い食事とは、犬が好んでよく食べるように調整されていることが、「良い」食事の条件になります。
犬の成長期
成長期
犬の成長期は、急激に体重が増加する生後2ヵ月までと、その後徐々に緩やかになる生後2ヵ月以降の2つの時期に分けて考えることができます。
生後2ヵ月までの管理
生後1ヵ月ごろから離乳が始まり、母乳から徐々に固形食へと移行します。この時期は犬種に関係なく急激に体重が増加し、成長率は生まれた時の10~15倍程度で、おもに骨組織が発達します。そのため、体重あたりのカロリー要求量が高くなります。
ただ、離乳したての生後2ヵ月までは、消化器の発達が十分ではないため、食事には必要なカロリーと栄養素を十分に摂取できるよう、カロリー密度が高く高栄養、しかも消化が良く、骨組織の発達にも適した栄養バランスの良い食事を与える必要があります。
この生後1~3ヵ月の時期は、母犬の初乳から得た免疫(移行免疫)が低下し始め、子犬自身の免疫はまだ十分発達していません。
母乳を消化するための酵素も低下し、食事を消化するための酵素もまだ、分泌が十分ではありません。伝染病にかかりやすい時期でもあり、ワクチンの摂取やストレスがかからないように注意が必要です。
生後2ヵ月以降の管理
生後2ヵ月以降は、犬種によって成長期の長さや体重増加率は大きく変わります。小型犬では約10ヵ月、中型犬では約12ヵ月、大型犬では約15ヵ月、そして超大型犬では18~24ヵ月まで続きます。
成犬時の体重は、小型犬では生まれた時の体重の20倍程度、大型犬では約70倍にまで達し、また、この時期はおもに筋肉組織が発達し、4~5ヵ月ごろからは脂肪組織が発達し始めます。
そこで、気を付けたいのが肥満です。成長期の肥満は成犬期と違い、脂肪細胞の増殖を伴うため、成長期に太らせると、太りやすくやせにくい体質になってしまう可能性が高いのです。特に大型犬や太りやすい犬種では、注意が必要です。
犬種による成長期の違い
小型犬の成長期の特徴
骨組織の発達は、離乳前にピークを迎え、筋肉組織の発達から少し遅れて、脂肪組織も発達し始めます。
大型犬の成長期の特徴
骨組織の発達は、離乳の段階ではピークを迎えず、筋肉組織の発達がピークを迎えた後に、脂肪組織の発達が始まります。
注意すべきは、摂取したカルシウムのうち、必要な量だけを吸収する成犬と違い、生後5ヵ月未満の子犬では、摂取したカルシウムの約半分が自動的に吸収されてしまいます。
骨格の成長には欠かせないカルシウムですが、過剰に吸収するとかえって骨格の形成に悪影響を及ぼすことがあります。そのため成長期の子犬では、カルシウムの摂取量に気をつけなければなりません。特に大型犬は骨格が大きく成長期も長いため、注意が必要です。
犬種の体格差
人との長い歴史のなかで、オオカミが家畜化して生まれた犬は、さまざまな体型の品種を持つ動物へと進化し、地球上の動物で、同じ種にもかかわらず50倍以上の体重差がある動物は犬だけです。
分類は
小型犬※体重:1~10kg
中型犬※体重:11~25kg
大型犬※体重:26~44kg
超大型犬※体重:45kg以上
※成犬時理想体重
上記の4つの犬種に分けることができ、小型犬のうち、成犬時の体重が4kg未満の犬種を「超小型犬」と分けられる事もあります。
成長期における犬種ごとの違い
生まれてから成犬になるまでの体重増加率は、大型犬になるほど高くなります。成犬時の体重は、小型犬では生まれた時の体重の20倍程度ですが、超大型犬では約100倍にまで達します。
そのため、小型犬の成長期は約8~10ヵ月まで、超大型犬の成長期は約18~24ヵ月までと、大型犬になるほど成長期は長くなり、当然、犬種ごとのカロリー要求量も違い、必要な代謝エネルギー量は小型犬が超大型犬の約2倍と、小型犬になるほど体重1kgあたりのカロリー要求量は高くなります。
高齢期における犬種ごとの違い
小型犬ほど平均寿命が長い傾向にあり、平均寿命の違いから、小型犬は8歳ごろから、超大型犬は5歳ごろから高齢期に入ります。
犬が健康で長生きするためには、ワクチン接種やフィラリアの予防、定期的な健康診断。それぞれの犬に最も適した栄養バランスの食事など、総合的な健康管理が重要です。